工法について知っておきたい基礎知識

住宅ブログ

前回は『家の性能、どこまで追求する?』にて、それぞれの指標に対して予算をどのように割り振ったらよいかを説明させていただきました。ここまでお読みくださった読者の方は、そろそろハウスメーカーや工務店を決定したり、家の間取りやデザインを検討したりすることができるようになってくるのではないでしょうか?今回は家の建設工法と家の形について説明させていただきます。工法によってどのような影響が出るかを理解していきましょう。

工法の種類とメリット/デメリット

まずは工法について説明していきます。まず、主となる建材でザックリと分けると「木造住宅」か「木造以外の住宅」に2分できます。木造住宅以外の工法には、主要な柱を鉄骨で組む「鉄骨造」や、鉄筋の入ったコンクリートで建築する「RC造」等があります。

「鉄骨造」は木造住宅と比較し、耐震・耐火性に優れ、大スパン(柱と柱の間を広く取れる)空間を実現できることがメリットですが、鉄骨から温度が伝わりやすいという特性があります。そのため、冬になると外気温が伝わりやすく、家の中に冷気が入りやすく、室温との温度差で結露しやすいというデメリットがあります。

「RC造」のメリットは「鉄骨造」同様、耐震・耐火性に優れ大スパン空間を実現できることです。加えて、RC造の建築にあたっては、木材等の自然由来の建材がほとんど使われないため、耐用年数が木造住宅と比べ1.5倍から2倍長持ちします。「RC造」も主要建材に鉄を使用していることから、外気温度が伝わりやすく、結露が発生しやすいという特性を持っています。「鉄骨造」と比較し、鉄の部分が増えるため、より顕著にデメリットがでやすいとも言えます。

また、基本的に同じ条件の家を建てるならば、「鉄骨造」、「RC造」ともに「木造」よりコストがかさみます。また、上記のデメリットをカバーするための費用が上乗せされてくるので、当サイトでは木造住宅をお勧めしています。そのため、今回は木造住宅にターゲットを絞って解説していきます。「鉄骨造」や「RC造」が気になる方はご自身で調べてみてください。

木造軸組工法

『木造軸組工法(もくぞうじくぐみこうほう)』は日本で古くから発達してきた工法の一つで、「在来工法」とも呼ばれています。特徴としては、柱や梁(はり)、筋交い(すじかい)といった直線状の木材を金具で組み合わせ家を構成します。点と線で構成されるイメージのため、間取りの自由度が高いです。例えば、一階は大きく、二階を小さくしたり、大スパンの広々とした空間を作ったりと、要望に合わせた間取りが実現可能です。また、基本的に柱や筋交い等で構成されているため、強度の問題が許せば、増築工事を行い、新たに一部屋増やす、壁を取り払って2つの空間を1つにする等の増改築がしやすいこともメリットといえます。

一方で一本一本の木材を金具で組み合わせて構成するため、木材の良し悪しが顕著に出やすいと言えます。また、実際に建築を行う際は、予め決められた寸法にカットされた木材を、一つ一つ現場でくみ上げていくことになるため、職人さんの腕前や作業環境に品質が左右されやすく、加えて工期が長くなりやすいという特徴があります。また、点と線での構成となるため、木造枠組壁工法と比較し耐震強度が低くなりやすいです。

木造枠組壁工法

『木造枠組壁工法(もくぞうわくぐみかべこうほう)』は19世紀ごろに北米で生まれた工法の一つで、「ツーバイ工法」とも呼ばれています。この時に使用される木材の大きさによって「ツーバイフォー」や「ツーバイシックス」などの呼ばれ方をします。特徴としては、フレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ち付けた壁や床で家を構成します。面で建物を支えるため、木造軸組工法と比較し耐震強度を高くすることができます。また、住宅の外側をぐるりと構造用合板で囲う形になるため、気密性や断熱性を高くすることができます。実際に建築を行う際は、工場にて壁を1面毎にある程度組み立てた状態で現場に持ち込み、ブロックのように組み建てていく方式のため、工期が短く品質が安定しやすいというメリットがあります。

一方で、面で組み立てていくイメージとなるため、二階建て以上の家を建てようとすると、基本的に一階と二階の大きさが同じになる「総二階」となるため、間取りの自由度が低くなります。また、面で構造を支える特性上、壁を切ることができないため、増改築が困難です。

まとめ

ここまで木造軸組工法と木造枠組壁工法のメリット/デメリットを説明しましたが、体系的にとらえるため、比較表を作成してみました。結論から申し上げると、住宅の性能を追求するのであれば「木造枠組壁工法」一択だと思います。逆に「一階より二階を小さくしたい」や「中二階(スキップフロア)や小上がり(ダウンフロア)が作りたい」という要望が強い場合には、「木造軸組み工法」を採用する必要がありあそうです。「性能重視」か「景観重視」かともいえそうですね。

住む人によって重視するポイントが変わるので、どちらが正解とかはないと思いますが、私は「木造枠組壁工法」をお勧めします。理由としては、木造軸組工法にない耐震強度や気密・断熱性がポイントだと思います。特に気密・断熱性は住宅のランニングコストに密接にかかわるポイントの一つであるため、少しでも性能が高い方を選んでおきたいと考えます。気密・断熱性については別の記事で詳しく説明したいと思います。

さいごに

今回は木造住宅の主な工法として「木造軸組工法」と「木造枠組壁工法」について詳しく紹介しましたがいかがでしたでしょうか?工務店やホームメーカーによって扱っている工法や、得意な工法が異なるため、工法にこだわるならばそのあたりも含めた工務店/ホームメーカ選びが必要となりますので、早めに確認しておきましょう。

次回は間取りについて詳しく説明していきたいと思います。実は、間取りは住宅の性能と密接に関係しており、せっかく性能重視で建材を選んだのに、それを活かしきる間取りになっていなかったがために、性能が犠牲になってしまうことがあります。入居してから「思っていたより寒い…日が当たらない…」といった事態を未然に防ぐため、知識を身につけておきましょう。

それでは次回もお楽しみに!

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