家づくりを進める上で知っておきたい指標

住宅ブログ

私が持ち家を選んだ理由にて持ち家を選ぶうえでのメリット等をご紹介させていただきましたが、今回は『家づくりを進める上で知っておきたい指標』についてお話させていただきます。
皆さんはあるものを購入するとき、どのように決めますか?例えば人生で2番目に高い買い物と言われる車を例にとって考えてみましょう。「価格」「燃費」「ボディタイプ(セダンとかミニバンとか)」「使用用途」等など比較するための物差しを容易に思い浮かべることができるかと思います。

では家ではどうでしょう?一番わかりやすい「価格」は真っ先に思いつくでしょうが、そのあとは続くでしょうか?私も家づくりを始めたばかりの時は同じような状態でした。この状態で「よし!家づくり始めるぞ!!まずは住宅展示場巡りだ!!」っと展示場にいったはいいものの、営業マンから「ウチの家は〇〇だから暖かいですよー!!」「ウチの家は△△だから断然暖かいですよー!!」と説明され、「暖かいことは分かったのだけど、A社とB社だったらどっちが暖かいの?」と判断に迷ってしまいました。

一見人によって感じ方が異なるように思える暖かさですが、実は住宅においては「住宅の性能」としてある指標で比較することができます。暖かさの他にもいくつか家づくりを進める上で知っておいた方がよい指標があります。これらを知っていると、冒頭で示した例のように、住宅展示場で営業マンから説明を受けた際にどちらがより暖かいのか判断できるようになるため、スムーズにハウスメーカーや工務店を選ぶことができるようになります。

少し難しい話になりますが、大切なパートになりますので、最後までお付き合いいただければと思います。

UA値

『UA値』は『外皮平均熱還流率』と言い、住宅の内部から外部に向けて熱がどれだけ逃げていくかを表した数値になります。熱損失の合計を外皮面積で除算した値になるため、値が小さければ小さいほど熱が逃げにくい家となります。数値が小さいほど性能がよく、大きいほど悪いということになります。勘違いしやすいので注意しましょう。

冬場を例に説明するとわかりやすいのですが、暖房によって発生した熱は、家の窓や外壁、天井、通気口からどんどん逃げていきます。UA値が低いと、逃げていく熱の量を少なくすることができるため、冬場の暖房費を抑えることにつながります。また、夏場でも同じことが言え、冷房によって発生した冷気を逃げにくくすることができるため、冷房費を抑えることにつながります。
ちなみに、一般的に冷房より暖房の方がコストがかかると言われています。

冬に寒くなく、夏に暑くない快適な暮らしを手に入れたい、冷暖房費を少しでも安くしたいと思われる方はぜひこの数値に気を配ってみてください。

また、似たような数値として『Q値』というものがありますが、こちらは『熱損失係数』と言い、難しいことを省くと『UA値』の友達のようなものです。(詳細はこちらのサイトを参照ください。)この二つの値はハウスメーカーや工務店から頂くカタログによく登場する数値なので、覚えておきましょう。ちなみに以下の計算式で換算することができます。

UA値 = 0.374 × Q値 - 0.14
Q値  = 2.67  × UA値 + 0.39

ポイント
  • UA値は低ければ低いほど良い。
  • 外気に左右されない快適性にこだわるなら必須。
  • 暖冷房費用を少しでも安くしたいなら必須。

C値

『C値』は『相当隙間面積』と言い、住宅にどれだけ隙間面積があるかを表した数値になります。住宅全体にある隙間面積を延べ床面積で除算した値となるため、値が小さければ小さいほど隙間のない家ということになります。 数値が小さいほど性能がよく、大きいほど悪いということになります。勘違いしやすいので注意しましょう。

こちらは読んで字のごとくなのでイメージしやすいかと思いますが、家には外気を取り込むための通気口の他、壁と床の間や屋根と壁の間等、隙間が発生してしまうものです。この隙間から絶えず外気や部屋内の空気が出入りしてしまい、暖冷房で得た快適な空気が漏れていくだけでなく、計画的な換気が行えなくなってしまいます。

建築基準法の中には「1時間に0.5回住宅の中の空気を入れ替えるよう換気しましょう」ということが謳われており、住宅には24時間換気システム搭載されることが義務図けられています。詳細は別の記事で紹介しますが、C値が悪いとこの換気システムが計画通り働かなくなる恐れがあります。つまり、換気がうまくいかず、家の中の匂いや汚れた空気が排気されなくなってしまうということに繋がります。また、C値を高める副産物として、外部からの音を遮断し、内部からの音漏れを軽減してくれます。

また、建物の経年劣化とともにC値も悪化(高くなる)していく傾向にあるため、長期間住む場合は経年劣化することを見越した値に設定することが重要です。

ポイント
  • C値は低ければ低いほど良い。
  • 計画外の空気の流入や漏れを防ぎ換気効率や室温の恒常に貢献する。
  • 副次的な効果として外部からの音を遮断し、内部からの音漏れを防ぐ効果もある。
  • 建物の経年劣化を見越した値に設定する必要がある。

耐震等級

『耐震等級』は住宅がどれだけ地震に強いかを示した値です。耐震等級は1~3のランクがあり、数字が大きくなるほど性能がよくなります。

耐震等級は耐震等級1をベースに考えられているため、耐震等級1とは何なのかが理解できるとわかりやすいと思います。

『耐震等級1』は震度6強から7に匹敵する、数百年に一度起こる大地震を想定された設計です。これを下回る性能の建物は、建築基準法上建てることができません。

次に『耐震等級2』についてですが、これは耐震等級1の1.25倍の耐震強度があることを示しています。また、『長期優良住宅』の認定を受けるためには耐震等級2以上が必要となります。ちなみに病院や学校などの公共施設を建設するために最低限必要となる基準となります。

最後に『耐震等級3』についてですが、これは耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。耐震等級の中で最も高いレベルであり、災害時の重要拠点となりうる消防署や警察署等の重要な建物の多くが耐震等級3で建設されています。

世界でも有数の地震大国である日本に暮らす私たちにとって、地震は最も身近な災害の一つに上がるでしょう。これから起こりうる南海トラフ巨大地震も考慮すると、地震リスクはかなり高いものとなるでしょう。また、コロナ禍によるおうち時間が増えたことも相まって、自宅での被災リスクが高いことも考慮する必要があります。

これから新築を考える方は、基本的にはその家に一生住み続けることを前提に物事を進めるでしょうから、前提を揺るがしかねない地震による倒壊は確実に排除しておきたいですね。

ポイント
  • 耐震等級は1~3まであり、高ければ高いほど良い。
  • 新築の家づくりの前提となる「一生住み続けられる」を実現するための重要な指標

さいごに

今回の内容は少し難しい内容になってしまいましたが、いかがだったでしょうか?そのほかにも家づくりで必要となる指標はいろいろありますが、最低限上記の3つを押さえておけば、ハウスメーカーや工務店選びには苦労しないでしょう。

ちなみに私は『耐震等級』>『C値』>『断熱性能』の順で優先度付けしました。

家づくりの基本がわかってきたところで、次回は『家の性能、どこまで追求する?』をご案内させていただきます。住宅展示場巡りをされた方はお気づきかと思いますが、上記の性能は高めれば高めるほどコストがかさみます。そのため、各指標についてどれだけ追及するか、つまり予算の振り分け方を説明させていただきます。

次回もお楽しみに!!

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