住宅は見た目だけで選んではいけない!?家の形が与える影響について理解しよう!

住宅ブログ

・家の形でも住環境は左右される。

・最適な家の形を選ぶことでコストを抑えることができる。

はじめに

ホームメーカーや工務店が決まってくると、家の外見等を検討していくことになると思いますが、一生に一度の買い物なのでおしゃれな家にしたいですよね。皆さんが想像するおしゃれな家ってどんな形でしょうか?大きなバルコニーのあるデザイナーズ住宅などなど夢が広がりますよね。また、家の見た目は訪問者やご近所さん目線で見ると第一印象を決める重要な要素であるため、こだわりたいポイントではありますが、おしゃれにこだわるあまり住環境の低下に繋がってしまう可能性があるファクターでもあります。今回は家の形が与える影響について説明していきます。皆さんの家づくりに役立てていただければ幸いです。

イニシャルコスト

家づくりを検討する際に最もインパクトが大きのがイニシャルコストですよね。一般的な生活において目にすることが無い『何千万』という単位のお金が動くことになります。ここでは、イニシャルコストに家の形がどう影響するのかを説明していきます。

建設費用

家を建てるにあたって、建設費用は低い方が望ましいですよね。人生で一番高い買い物と言われている住宅ですが、その内訳って意外と目が向かないものですよね。ありがたいことに三井住宅トラスト不動産様のこちらのサイトに都内に約33坪二階建ての住宅を建てた際の費用を紹介いただいています。該当サイトの内容を表形式まとめさせて頂き、各項目が全体に占める割合と費用の大きい順に順位を追加させていただきました。

出展:三井住友トラスト不動産様

上表の中でも私が注目してほしいのは、黄色で着色した『基礎工事』と『屋根・板金・外壁工事』です。『基礎』、『屋根』、『壁』。どれも家にとって必要不可欠な構造体ですが、これらを建設する費用は家の形に密接に係わっています。さらにわかりやすくするために図解していきます。

上の図は同じ建材を使用し、同じ床面積を確保した建物A、Bです。二つの建物の違いは、建物Aは総二階で建設しており、建物Bは平屋で建設しているというところです。ここでは、上に何もない四角を『屋根』、下に何もない四角を『基礎』としています。また、どこの四角とも接していない面を『外壁面』としています。
上表を見ると、建物Aに比べ建物Bの『屋根』、『基礎』の数が倍に、『外壁面』の数が約1.2倍になっていることがわかるかと思います。あくまで単純計算の上なので傾向としてとらえていただきたいのですが、これは建物Aと比較し、建物Bにおける『基礎工事』費用が2倍、 『屋根・板金・外壁工事』 費用も約2.2倍になるということを示しています。具体的な金額を示すと、今回のモデルでは 『基礎工事』 に掛かる費用が『150万円』から『300万円」に、 『屋根・板金・外壁工事』 が『300万円』から『600万円』となります。

まとめると、『基礎、屋根、壁が増えれば増える程、建設費用が高くなる』ということになります。もう少し具体的に言うと『総二階(一階と二階の形が同じ家)の形に近づけば近づく程、イニシャルコストを抑えることができる』ということになります。

断熱性能面

以前、以下の記事で断熱性について説明させていただきました。

該当記事でも述べた通り、家の断熱性を高めることで外気温に左右されることなく快適な暮らしが手に入ります。また、断熱性の高い家は経済性にも優れており、冷暖房費を抑えることができます。断熱性能を示す指標として『UA値』があり、その求め方は『建物全体の熱損失量÷外皮面積』となっています。『外皮面積』とは、外気に触れる壁や屋根、床面のことです。
つまり、外皮面積が少なければ少なくなるほど、断熱性は向上するということになります。前項で述べた例で示せば、建物Bに比べ、建物Aは約1.2倍断熱性能が高くなるということになります。

広くて大きい家は確かに魅力的ではありますが、そこだけに意識を取られると断熱性能面でハンデを抱えることになります。また、ハンデを解消する方法として、壁や床、天井の断熱材のグレードを上げる等の方法が想定されますが、前項で述べた建設コストが嵩んだ上、さらに断熱材のグレードアップ費用が上乗せされるため、非常に高額になりやすいです。最近だと、老後の住みやすさを考慮して平屋を勧めるホームメーカーや工務店が多いかと思いますが、平屋についても同様の理由でイニシャルコストが高くなる傾向があります。

大きな家や平屋を検討する際は、ここで述べたようなデメリットを十分に理解した上で採用する必要があります。

ランニングコスト

家づくりをする際は、どうしてもイニシャルコストに目が行きがちですが、住んでからも水道光熱費等のランニングコストが発生します。家の形や間取りがランニングコストへどのような影響を与えるのか説明していきます。

冷暖房費用

前項『断熱性能面』の延長線上の話になってしまいますが、断熱性能は冷暖房費用と密接に係わっています。断熱性能が1.2倍違えば、冷暖房費もそれと同等な額の違いが生まれます。資源エネルギー庁が公表したこちらの資料によれば、一世帯あたりの平均冷暖房費用は『約3万7千円』だそうです。断熱性能が1.2倍違うと、金額にして年間7.4千円の差が生じます。一年だと誤差の反中ですが、例えば一生その家に住み続けることを想定し、60年間という長期スパンで見れば、その差は約44万円となるため、軽視できない額であることがお分かりいただけるかと思います。

また、冷暖房費用繋がりもう少し深堀したいと思います。以下の図をご覧ください。

上の図は住宅を上から見下ろしている図だと思ってください。ここで皆さんにクイズなのですが、上の図で暖房費が掛からないのは左右どちらの家でしょうか?どちらも同じ建材、立地条件、広さを持つ物件だとお考え下さい。一見すべての条件が同じに見える物件ですが、左と右で明確に暖房費の差があります。ヒントは方位記号です。



どうでしょう。分かりましたか?それでは答え合わせです。下図を見てください。

ここで言いたいことは『日射取得量からくる暖房費の差』です。詳細は別記事で語っていきたいのですが、家の南側に凸凹があると、日中自らが作り出す陰によって日光を取り入れることができなくなる時間帯が発生します。冬場でも日光が当たる床面が温かくなるように、家全体でも同じことが言えるということです。日光から得られる熱エネルギーは軽視されがちですが、金額に表すとワンシーズンで約2~3%暖房費用が削減できる程の威力を持っています。もちろん建材や立地条件によって左右されますが、こちらも傾向として覚えておくとよいでしょう。

まとめ

家の形が与えるコスト面での影響について説明してきましたがいかがだったでしょうか?一生に一度の買い物なので、『大きな家がいい!!』『デザインの優れた家に住みたい!!』と希望に胸が膨らみますが、家の大きさや形はイニシャルコストやランニングコストと密接に繋がっています。大きさや形だけを見て買ってみたら、住んでみたら『こんなはずじゃなかった!!』とならないよう、メリットとデメリットをしっかりと理解し、後悔のないように検討していきましょう!

それでは今回はこの辺で。
長々お付き合いいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!!

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